ひな祭りのときに飾る雛人形には人形だけではなく、様々な飾りも一緒に並べます。
お雛様やお内裏様、三人官女や五人囃子などの人形については役割や意味をご存知の方も多いと思います。
ひな祭りの歌をご存知ですか?
一番最初の歌詞には「灯りをつけましょ、ぼんぼりに」と、ぼんぼりという言葉が出てきます。
歌を覚えたお子さんは「ぼんぼりって何?」と疑問に思うことでしょう。
小さなものから大きなものまで、だいたいどのような雛人形にもぼんぼりは飾られています。
今回はぼんぼりの意味や由来などについてご紹介します。
雛人形のぼんぼりって何?
雛人形は女の子の幸せを願って飾られるということをご存知ですか?
雛人形は子供の受ける厄を身代わりになって受けてくれるという役目を担っています。
人形の横に飾られているぼんぼりとはそもそも何なのでしょうか。
・ぼんぼりは照明
ひな祭りの歌にもでてきますが、ぼんぼりは明かりをつける照明です。
ぼんぼりは漢字で書くと雪洞という字になります。
紙や絹などの柔らかい素材で明かりの部分がおおわれ、台座が付いています。
ろうそくの台座を長い柄で支えている小型の行灯(あんどん)で、明かりをおおう紙や絹には模様がついていることが多いです。
ひな祭りではお雛様とお内裏様の両脇に飾られます。
行灯は漢字表記からもわかるように、持ち歩ける明かりという意味から行灯と呼ばれるようになりました。
ぼんぼりは行灯の一種ですが、持ち歩くためではなく、台座の上から辺りを照らすためのものです。
登場したころは小型の行灯をぼんぼりと呼んでいましたが、のちには明かりであるろうそくに紙や絹で覆いをつけたもの全般をぼんぼりと呼ぶようになりました。
吹き消されてしまったり、火が燃え移って火災になるのを防ぐために絹や紙の覆いが付くようになったようです。
・ぼんぼりの役目
江戸時代には貴族だけではなく庶民の間にも雛人形を飾る習慣が広まっていました。
ぼんぼりが雛人形と一緒に飾られるようになったのは江戸時代からです。
当時の結婚式は亥の刻に行うものとされており、夜の9時から11時の間に行われていました。
夜は暗くて何もみえませんよね。
結婚の婚の字はもともとは黄昏を意味するものであり、結婚式が日が落ちた暗い時間に行われることからこの字が使われています。
現在ではシャンデリアや豪華な照明で明るく照らされた中で結婚式が行われます。
しかし、昔は電気がなく、そのような明るい照明はありませんでした。
暗闇の中の結婚式を暖かい光で照らすためにぼんぼりが使われていました。
このように、結婚式の必須アイテムとなったぼんぼりが今も雛人形に名残として残っているのです。
ぼんぼりの意味と由来をご紹介
ぼんぼりは現在、日常生活で使用することはありません。
ひな祭り以外でぼんぼりという言葉を聞くこともほとんどないでしょう。
ここではぼんぼりの意味と名前の由来をご紹介します。
・ぼんぼりの意味と名前の由来
ぼんぼりの名前の由来は、ほんのり明るいという「ほんのり」が変化してぼんぼりとなったという説が濃厚です。
本来のぼんぼりの意味はぼんやりとしていてはっきりしない様、ものが薄く透いていてぼんやりと見えるさまを表す言葉でした。
紙や絹などを一枚隔てた明かりはやさしくほんのりとあたりを照らしています。
漢字表記の雪洞は茶道具からきています。
木や竹に薄い紙を貼った蓋つきの茶道具を雪洞と呼びます。
この茶道具の雪洞と照明の雪洞はともに紙や竹を使っているということからぼんぼりに雪洞という漢字をあてるようになりました。
ぼんぼりは夜は消す?つけておく?
江戸時代は電気がなく暗かったため、夜の結婚式をぼんぼりで照らしていました。
ですが、現在では電気も通り、夜でも室内は明るく照らされます。
雛人形を飾ったときのぼんぼりはいつつければよいのでしょうか。
・ぼんぼりをつけるのはいつ?
部屋の中がいつも明るい現在では、ぼんぼりを必ずしもつけなければならないという決まりはありません。
現在のぼんぼりはろうそくではなく、電気を使ったものがほとんどでしょう。
電気代の面を気にする方も多く、室内が明るいからぼんぼりはつけないという人もいます。
人によってぼんぼりをつける、つけないは様々ですが、基本的には自由です。
部屋が暗いと雛人形も寂しいでしょうから、部屋に誰もいなくて暗い時にはつけてあげたほうがいいかもしれませんね。
結婚式を照らすためというぼんぼりの役割から、ひな祭りの日の夜にだけつけるという方も多いです。
ぼんぼりの役割をお子さんに説明して、いつつけるか相談して決めてもよいでしょう。
まとめ
このように、ぼんぼりとはひな祭りを照らすための証明です。
辺りをほんのりと照らしていることからぼんぼりと呼ばれるようになりました。
今ではきらびやかで明るい結婚式ですが、ぼんぼりに照らされた優しい雰囲気の結婚式も悪くないですよね。
ぼんぼりの明かりに照らされて結婚式をしたお雛様とお内裏様はきっと幸せになったことでしょう。
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