3月3日の桃の節句には、女の子のいる家庭で雛人形を飾る文化があります。
雛人形をじっくりと見たことはありますか?
小さなお子さんは特に雛人形に興味津々です。
私たち大人の目線では考えたこともないような疑問が次々と子供たちの中では生み出されています。
その疑問に答えるのはお母さんやお父さんでしょう。
ですが、その質問に答えることはできますか?
雛人形についての詳しい話を知っている方は少ないでしょう。
今回はお内裏様について、手に持っているものや頭の飾り、衣装や持ち物の意味についてご紹介します。
お内裏様が手に持っているものは何?
雛人形の主人公はお雛様とお内裏様です。
ひな祭りはお雛様とお内裏様の結婚式の様子を描いたお祭りです。
お内裏様をよく見ると、手に何か持っています。
その持ち物は何なのでしょうか。
・お内裏様が持っているものは何か?
お内裏様は手に笏(しゃく)という板のようなものを持っています。
笏は束帯を着る時の作法として持つことが決められていました。
束帯は平安時代以降の男子の正装とされており、結婚式であるひな祭りにも着用していた衣服です。
現在では神職が使うものとされています。
・笏はどちらの手に持つのが決まりなのか?
お内裏様が持っている笏は、右手で持つことがルールとされています。
ですが、出雲大社では両手で持つ伝統があります。
ひな祭りの際にはお内裏様の右手に持たせて間違いないでしょう。
お内裏様の頭の飾りの名前 烏帽子は間違い!
お内裏様がかぶっている帽子のような頭の飾りがあります。
よく、烏帽子と呼ぶ人がいますが、正確には違うのです。
・烏帽子とは?
烏帽子とは平安時代に始まり、和装での礼服着用の際に男性がかぶる帽子のことを言います。
衣装の格式や着る人の身分によっていくつか種類があります。
烏帽子は公家やそれに使える人たちが日常的にかぶっていることが多かった帽子です。
普段からかぶっているというだけではなく、祭典の時にはその服装に合った烏帽子が選択されていたようです。
現在では大相撲の行事がかぶっている帽子が烏帽子です。
・お内裏様がかぶっているのは何?
お内裏様がかぶっているのは、見た目は烏帽子とよく似ていますが冠という名前です。
冠と言えば王冠をイメージする人が多く、お内裏様の帽子が冠であるといってもしっくりこない人が多いでしょう。
お内裏様は天皇をモデルとした人形です。
お雛様は皇后ということになります。
お内裏様がかぶっている冠は、立纓という名前で天皇以外はかぶることができない冠なのです。
つまり、この冠は身分を表すための冠であり、お内裏様がかぶっている冠は一番身分が高いことを示す冠です。
この立纓の歴史は意外にも浅く、かぶられ始めたのは江戸時代頃です。
雛人形が広まったのは江戸時代頃であり、お内裏様はその当時の天皇の冠をかぶっています。
・なぜお内裏様の冠は烏帽子と間違われるのか?
烏帽子と冠は少し形が似ていることが原因の一つです。
烏帽子は天皇家などの貴族の被り物としてイメージされることが多い帽子です。
子供向けのアニメなどでも貴族の主人公が烏帽子をかぶっているものがあります。
貴族の被り物と言えば烏帽子というイメージの定着がお内裏様の冠を烏帽子と思わせてしまうのかもしれません。
衣装や持ち物の意味は?
三人官女や五人囃子と同じように、お内裏様の衣装や持ち物にも意味があります。
お内裏様の人形をよく見てみましょう。
・衣装の意味は?
お内裏様が着ている衣装は束帯と呼ばれる正装です。
平安時代から、天皇や偉い役人が朝廷の公事の際に着ることが決まっていた、男性の一番正式な衣装です。
何枚も袴を重ね着し、表の部分を表袴と呼びます。
身分や年齢によって袴の生地が決まっており、お内裏様は腰に石帯と呼ばれる革で作られた帯を巻いています。
ですが、近年ではほとんどのお内裏様で石帯は省略されています。
お雛様と結婚し、新しい生活を始めていくための儀式であるひな祭りは、かなり正式な行事だということがわかります。
・笏の意味とは?
なぜ笏を持っているのでしょうか。
笏を持つことで威厳を表現しているとされています。
正装には笏はかかせないものとなっているのです。
ですが、笏の役割はそれだけではありません。
結婚式であるひな祭りは婚礼の儀式としてさまざまなことを行います。
その儀式の流れは覚えることがとても大変です。
笏はもともと、裏に笏紙というカンニングペーパーを張るためのものでした。
儀式の段取りを忘れないために、笏の裏側に紙を張ってこっそり見ていたのです。
まとめ
このように、お内裏様の服装はかなり正式な正装で、一張羅ともいえるでしょう。
お内裏様にとっても結婚式は大切な儀式であり、きちんと意味のある服装で臨んでいたということです。
笏にもきちんと意味があり、正装時に威厳を示すだけではなく、裏側にメモを張っていたりと大活躍でした。
ひな祭りは今では女の子の幸せを願うお祭りです。
お内裏様とお雛様も結婚して幸せになったことでしょう。
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