お雛様とお内裏様のすぐ下の段に並ぶ三人の女性たちについてご存知ですか?
彼女たちは三人官女という名前です。
お雛様とお内裏様については子供たちもよく知っていることでしょう。
ですが、お雛様とお内裏様に比べるとなじみがない三人官女について興味津々の子供たちも多いと思います。
子供たちの素朴な疑問に答えることができますか?
今回は三人官女の名前や既婚者と未婚者がいること、眉毛やお歯黒についてご紹介します。
雛人形 三人官女の名前は?
三人官女はお雛様に使える女官たちです。
お雛様の教育係も兼ねている三人官女はお雛様が嫁ぐときに一緒にお内裏様のもとへ行くことになっています。
三人官女は仕事ができる選ばれし女官で、身分が高い女性たちです。
彼女たちにもそれぞれ名前があるので、ここでご紹介しましょう。
・むすび
一番右側に並んでいる、長柄の銚子を持った官女はむすびと呼ばれます。
この名前の由来は官女の口にあります。
口をよく見ると一文字に結んでおり、口は空いていません。
口が結ばれているのでむすびという名前になりました。
・眉なし
真ん中の官女の名前は眉なしです。
真ん中の官女は一番年上で三人官女のリーダー的存在です。
この官女は眉毛がないので眉なしと呼ばれています。
・口開き
一番左の提下を持っている官女は口が開いています。
開いた口をしているので口開きと呼ばれています。
三人官女は既婚者と独身者がいる?
三人官女は結婚前も結婚後もお雛様の身の回りの世話をする役割があります。
実は、三人官女には既婚者と独身者がいます。
既婚者の官女はお雛様に結婚についての教育やサポートをする役割があります。
独身の官女が2人いるのは、若い女官が年上の女官の役割を引き継いでいけるようにということです。
既婚の官女と独身の官女が混ざっているのは、結婚についての教育をするためだけではありません。
結婚する前も、添い遂げる男性が見つかった結婚後も幸せに過ごせるようにという願いが込められています。
どの官女が既婚者なのかわかりますか?
既婚の官女は真ん中の官女です。
真ん中の官女は三方という小さなテーブルのようなものを持っています。
三人官女はそれぞれお酒を注ぐための道具を持っていますが、一番格上の真ん中の官女が持っている三方は盃をのせるものです。
一番左の官女が持っている提下から右の官女の長柄にお酒を移し、最後に真ん中の官女のもつ三方の上の盃にお酒が注がれます。
このように、既婚者で一番年上の官女が結婚の儀式を取り仕切っているのです。
三人官女の眉毛やお歯黒の意味は?
三人官女をよく見るとみんな顔が違います。
名前の由来になっている口元も違いの一つです。
真ん中の官女には眉毛がなく、古くからの伝統を大切にしているタイプの雛人形ではお歯黒をしている場合もあります。
この眉毛とお歯黒にはどのような意味があるのでしょうか。
・眉毛がない理由は?
三人官女の真ん中の官女には眉毛がありません。
江戸時代では既婚女性は眉毛を剃るという習慣がありました。
眉毛は表情を見分けるのには大切なパーツですよね。
なぜ既婚者は眉毛をそり落としていたのでしょうか。
結婚が決まると他の男性との恋愛はできなくなりますよね。
表情がわかりにくいと男性とのコミュニケーションも弾まなくなります。
結婚が決まった女性が他の男性と恋愛しないためという説が一つです。
また、昔の日本では無表情の女性のほうが美しいとされていたという説もあります。
成人した女性はさらなる美しさを追求するために眉毛をそり落としていたようです。
・お歯黒の意味は?
お歯黒は平安時代から始まり、17~18歳の貴族の男女が成人であることを示すために始まった文化です。
江戸時代にはお歯黒の黒は他に染まらない色、ということで既婚女性の象徴として広まっていきました。
当時、お歯黒を施して眉毛を剃った顔は色気があるとされ、美しさの表現とされていました。
貴族だけではなく、庶民にもお歯黒が広まってからは、結婚を機にお歯黒を行うようになりました。
お歯黒の材料は酢酸鉄を含んだ溶液とタンニンを含んだ粉とされています。
鉄くずを酢や茶の汁溶いて使っていたようです。
結婚の象徴と言えば現在では結婚指輪があります。
現在では京都の舞妓さんが芸妓さんになる2週間前にお歯黒をすることがあるくらいで、お歯黒の文化は衰退しています。
このように、眉毛がないこととお歯黒は既婚女性であることを示す印です。
現代のように結婚指輪のなかった昔の日本ではお歯黒と眉なしが既婚女性を見分ける方法でした。
ですが、江戸時代後期頃からは結婚していなくても成人した女性は眉をそり落としていたという説もあります。
どちらにせよお歯黒と眉なしの三人官女は三人の中で一番年上のお姉さんということですね。
まとめ
このように、三人官女は三人それぞれ役割が違い、名前も別々です。
お雛様をあらゆる面からサポートするために既婚の官女と仕事を引き継ぐ未婚の官女とがそろっています。
眉毛がなく、お歯黒の官女が一番年上の既婚官女です。
お雛様の嫁入りをサポートする三人官女は非常に優秀な女性たちです。
お子さんにもそう説明してあげてくださいね。
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