3月の桃の節句になると、女の子のいる家庭では雛人形を飾ります。
お雛様とお内裏様についてはご存知の方も多いと思いますが、その下段に並ぶ人形たちについて詳しいことはご存知ですか?
たくさん並ぶ雛人形たちに子供たちは興味津々のはずです。
「これは何ていうお名前なの?」「何する人なの?」といった子供たちの素朴な疑問に全て答えることができる方は少ないのではないでしょうか。
今回はお雛様とお内裏様のすぐ下段に並ぶ三人官女についてご紹介します。
雛人形 三人官女の並び順番は?
三人官女はお雛様とお内裏様のすぐ下に並んでいるので、だいたいどこの家の雛人形にも登場しているはずです。
まずは三人官女の並び順番についてご紹介します。
三人官女は立っている人と座っている人がいます。
基本的には一人だけ立っていたり、一人だけ座っていたりと、ポーズの違う人形を真ん中に並べます。
立っている人形は内側を向くように飾り、座っている人形は足が内側を向くように飾ります。
稀に三人とも立っている場合の三人官女もいます。
その場合は一人だけ眉毛がない、または薄い人がいますので、眉毛のない人を真ん中にしましょう。
三人官女はそれぞれ持ち物が違います。
一番左に並ぶのは提下を持った人形です。
提下とはやかんとよく似たお銚子です。
注ぎ口が内側を向くように両手でもたせます。
真ん中に並ぶのが三方という小さなテーブルのようなものを持った人形です。
そして一番右側に並ぶのが長柄というひしゃくをもった人形です。
三人官女の役割は?
次は三人官女の役割についてご紹介します。
・三人官女とは?
官女とはお姫様にお仕えしている女官を指します。
お姫様の身の回りの世話や健康管理やそのほかの雑務など、様々な業務をこなす人です。
お姫様の教育係も兼ねているため礼儀作法や楽器の演奏、歌を詠むことも得意とします。
良いお姫様に育てるには良い官女を付けることが非常に重要で、官女の責任は重大です。
三人官女はとても優秀な女性たちで、身分もとても高いのです。
お姫様が幼いころから教育係として仕えてきた三人官女は、姫が嫁ぐときにも一緒についていきます。
ひな祭りとはお雛様とお内裏様の結婚式であり、三人官女はお雛様に使える女官たちです。
三人官女はお雛様と一緒にお内裏様の家へ付き添っていきますので、一緒に並んでいます。
・三人官女のそれぞれの役割は?
三人官女の中にもリーダーがいます。
三人とも仕事のできる優秀な官女ですが、その中でもトップクラスで仕事ができる人です。
それは中央に並ぶ官女です。
眉毛がなく、口が黒い官女は一番年長者で三人官女のリーダーを務めています。
真ん中の官女は既婚者であるため、眉がなく、お歯黒をしています。
現代ではお歯黒は子供たちが怖がるため、歯が白い人形が増えています。
既婚者としてお雛様に結婚の心得や作法を教えるのが真ん中の官女です。
両脇の二人は年が若いですが、三人官女に選ばれるということは若くしてかなり仕事ができる女性ということです。
ひな祭りにおける三人官女の役割は、お酒を注ぐことです。
普段は厳しい三人官女ですが、お祝いの席というだけあって表情は笑顔ですね。
既婚者と未婚者がそろって三人官女となるのは、若くてきれいな未婚の時期も、愛する男性とともに生きる結婚後もどちらも幸せな人生であるようという願いが込められているからです。
三人官女の持ち物の意味は?
三人官女はそれぞれ別の持ち物を持っています。
3つともお酒を注ぐための道具ですが、婚礼ではお酒を注ぐのも儀式の一つです。
提下、長柄、盃の順番にお酒を注ぎます。
盃へとお酒を注ぐ長柄は提下よりも格上なので一番右側に並んでいます。
それぞれの持ち物の役割は以下の通りです。
・提下
提下とはお酒を入れる器のことです。
別名を加えの銚子とも呼びます。
提下にはお酒が入っており、この提下から一番右側の官女が持つ長柄へお酒を移します。
・三方
小さなテーブルのような三方は、盃を載せる台です。
・長柄
柄の長い長柄は、白酒を盃へそそぐための道具です。
一番左側の提下もお酒を注ぐ役割としては同じですが、盃へと本酌する長柄のほうが格上です。
神前結婚式では三献の儀があります。
三々九度の杯のときに使用するのが、三人官女の持つこれらの道具です。
三人官女の持つ道具でお酒を注ぎ、そのお酒を飲むことでお雛様とお内裏様はめでたく夫婦となるのです。
・子供にわかりやすく三人官女を説明するには
これまでの説明でお母さんはなんとなく三人官女の役割や意味がわかったと思います。
ですが、お子さんには少し難しいですね。
まず、お子さんにはひな祭りはお雛様とお内裏様の結婚式で、幸せになれるようにお祈りするお祭りだと説明しましょう。
「三人のお人形はお雛様のお世話をする人で、お雛様が幸せになれるようにお祈りしているんだよ」
と役割を伝えてあげましょう。
お子さんが小さいうちはお酒を注ぐといった三人官女の役割を理解するのは難しいかもしれません。
ひな祭りは毎年あるので、お子さんが大きくなるにつれて少しずつ詳しい説明をしてあげるとよいでしょう。
まとめ
このように、三人官女はお雛様に使える女官たちであり、結婚の儀式では重要なお酒を注ぐ役割を担っています。
お雛様が小さなころから教育係として仕えていた官女たちはお雛様の幸せを誰よりも願っていることでしょう。
女の子のいるご家庭では、その子の幸せを願って雛人形を飾ります。
三人官女の役割についてお子さんに伝えてあげてくださいね。
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