ロタウイルスとよく似た症状を呈するのウイルスとして知られているノロウイルス。
似ているとはいっても違いがあります。
具体的にどのような違いがあるのかご存知でしょうか?
今回はロタウイルスとノロウイルスの流行時期や治療方法、症状の違いについてご紹介します。
ノロウイルスとロタウイルスの症状の違いは?
・ノロウイルスの症状とは?
まずはノロウイルスについてご紹介します。
ノロウイルスは乳幼児から高齢者まで幅広い年齢に感染するウイルスです。
ノロウイルスの主な症状は下痢と嘔吐ですが、他のウイルスとは違う特徴として嘔吐が多いということがあります。
発熱、下痢、嘔吐はノロウイルスの3大症状ですが、重症化するケースはほとんどありません。
そのほかにはお腹を刺すような痛みが現れます。
ノロウイルスは感染性食中毒の原因ウイルスの代表とも言われており、感染者数が年々増加傾向にあります。
ノロウイルスの感染源となる食品の代表は二枚貝です。
加熱が不十分なまま、カキなどの二枚貝を食べると、貝の中に生息していたノロウイルスが胃腸内の細胞で増殖します。
こうして人体に浸食したウイルスは、糞便や吐物となって体外に排出されます。
この排泄物が感染源となり、接触感染していきます。
潜伏期間は1~2日、発症するのは2~3日で、症状が治まっても1週間ほどは菌が排出されています。
・ロタウイルスの症状とは?
ロタウイルスは0歳から5歳までの子供に多く感染する胃腸炎の原因となるウイルスです。
主な症状は下痢、嘔吐、発熱、とノロウイルスとほとんど同じです。
しかし、ロタウイルスによる下痢は回数が多くて水っぽく、米のとぎ汁のような白い便という特徴があります。
他のウイルス性疾患に比べて下痢の症状が激しく、入院が必要になる小児急性胃腸炎の原因の半分を占めています。
成人に感染することもありますが、軽症で済んだり発症しない場合が多く、ロタウイルスで症状が強く現れるのは子供です。
感染源はロタウイルスを発症した人の排泄物で、十分な手洗いがされていないことで菌が蔓延します。
菌が付いたままの手で食事をすることにより、経口感染します。
ノロウイルスと同じくアルコール消毒では効果はありません。
潜伏期間は1~2日、発症するのは2~3日で、症状が治まっても1週間ほどは菌が排出されています。
しかし、重症の下痢の場合には1か月間ほど菌が排出される場合もあります。
・ノロウイルスとロタウイルスの違いとは
ノロウイルスはほぼ全年齢に感染して発症するのに対し、ロタウイルスは乳幼児や子供が発症します。
ノロウイルスは激しい嘔吐、ロタウイルスは激しい下痢が特徴です。
ノロウイルスよりもロタウイルスのほうが感染力が強く、10個ほどのウイルスでも感染します。
ノロウイルスとロタウイルスの流行時期の違い
・ノロウイルス、ロタウイルスの流行時期
ノロウイルスは11月から3月の主に冬に多発するのですが、年間を通して患者は発生しています。
一方ロタウイルスはノロウイルスよりも少し後の2月から3月に流行します。
細菌性疾患が夏に多発するのに対して、ウイルス性の疾患は乾燥する冬に多発します。
さらに、日本の場合には冬になると食用生カキが市場に多く出回るために冬場にノロウイルスの感染が増加します。
・ノロウイルス、ロタウイルスの予防方法
ノロウイルスは乾燥や酸にも強く、水中でも長時間生きていることができる、非常に厄介なウイルスです。
ノロウイルスの予防の基本は徹底した手洗いです。
ロタウイルスの場合も同じですが、アルコール消毒ではウイルスは死滅しません。
石鹸と流水で2分間以上かけて爪の間や指の間も丁寧に洗うことが一番の予防策になります。
また、ノロウイルスの場合には、生ものはしっかりと加熱してから食べることです。
流行時期にはカキなどの2枚貝の生食は避け、しっかりと加熱してから食べましょう。
ロタウイルスも同じように手洗いの徹底が重要です。
子供の集まる場所にはロタウイルスがたくさんいますので、帰ったらきれいに手洗いしましょう。
また、ロタウイルスの場合には、予防接種があります。
受けられる年齢には制限がありますので、出生時に予防接種のスケジュールを確認しておきましょう。
予防接種を受けることで重症化を90%防ぐことができます。
ノロウイルスとロタウイルスでは治療方法も違うの?
ノロウイルスもロタウイルスもウイルスと直接闘う治療はありませんので、出ている症状に対処する治療が行われます。
どちらのウイルスも下痢や嘔吐による脱水症状を防ぐ治療が大切になりますので、治療内容はほとんど同じです。
体力を消耗しますので治療の基本は絶対安静です。
安静にして、水分をこまめにとり、体を冷やさないようにしましょう。
まとめ
このように、ノロウイルスとロタウイルスには症状や特徴に多少の差はありますが、治療の方法はほとんど同じです。
どちらの場合も、脱水に注意して水分補給をしっかりと行いましょう。
他の家族に移さないための感染予防も徹底する必要があることも同じです。
基本の手洗いをきちんと行いましょう。