ロタウイルスは乳幼児が感染し重症化すると命にかかわることもあるウイルスです。
予防接種をしていると90%は重症化を防ぐことができますが、できることならかかりたくはないですよね。
特にきょうだいがいる場合には、他の子どもに移らないようにしたい、と考える方も少なくないでしょう。
今回はロタウイルスの感染経路とお風呂や洗濯の方法についてご紹介します。
ロタウイルスの感染経路は?
・ロタウイルスとは?
ロタウイルスとは、ノロウイルスと似たような症状を引き起こすウイルスです。
大きさはノロウイルスの倍くらいで、同じ量の便の中に含まれるウイルスの量もノロウイルスの100万倍です。
非常に感染力が強く、下痢や嘔吐などの症状を引き起こし、重症化すると胃腸炎になります。
ロタウイルスに起因する胃腸炎では重い脱水症状が数日間続き、けいれんや腎不全、心筋炎などを合併することがあります。
発症した場合、ロタウイルスを直接攻撃できる抗ウイルス剤はありません。
そのため、出ている症状に対して治療を行う対症療法がおこなわれます。
脱水症状を防ぐための点滴治療が必要になるため、重症化した場合には入院が必要になることもあります。
・ロタウイルスの感染経路とは
ロタウイルスは10~100個ほどの少量のウイルスが口から入ることで経口感染します。
主な感染経路は患者からの感染です。
患者の便を処理した手が十分に洗えていない状態で食べ物に触れ、それを食べることで感染します。
ロタウイルス感染患者の便に大量に含まれており、患者の便を処理した人の手に付着します。
手洗いを十分にしていても爪の間などに大量にウイルスが残っており、その手でドアノブなどに触れてしまうと感染が広がります。
食べ物だけではなく、食器やタオルなども感染源になります。
ロタウイルスの潜伏期間は1~2日で、発症すると発熱症状が現れたのちに嘔吐や下痢が始まります。
ロタウイルスは同じお風呂に入ると感染する?
・お風呂で感染する可能性はあるのか?
ロタウイルスは患者の糞便に多くウイルスが含まれます。
お風呂で体を洗うとき、当然お尻も洗います。
お尻の皮膚にはロタウイルスがたくさんついていますので、お風呂で体を洗うとウイルスも一緒に流れます。
また、子供が小さい場合にはお風呂でうんちをしてしまうこともあります。
その流れたウイルスが水と一緒に跳ねたり、口に入ったりすると感染してしまいます。
つまり、ロタウイルスはお風呂で感染が広がることがあるということです。
・いつからお風呂に一緒に入れるのか?
ロタウイルスに感染してから、下痢や嘔吐の症状が治まり、活気がでてきたらお風呂に入ることができます。
ですが、入浴は体力を消耗しますので、最初はシャワーのみにするなどして配慮してあげましょう。
ロタウイルスに感染してから、症状が治まってもまだウイルスは生きています。
他の人に感染が移る期間は発症してから10日前後です。
重症の下痢があった場合には1か月間は便にウイルスが残っています。
大人は子供に比べて抵抗力も強く、免疫もありますので、1週間程度で一緒にお風呂に入っても問題はありません。
しかし、きょうだいがいる場合にはもう少し慎重になりましょう。
きょうだいへの感染を防ぐため、感染した子供ときょうだいが一緒にお風呂に入るのは2週間以上は避けたほうがよいでしょう。
・お風呂の時の注意点とは?
ロタウイルスに感染した人がいる場合には入浴時に注意点があります。
まず、できるだけロタウイルスに感染した人は最後に入浴します。
そして水道代はかかりますが、ロタウイルスに感染した人が入浴したお湯は毎回捨てましょう。
タオルの共有は絶対にしないでください。
体を洗ったタオルにはたくさんのロタウイルスが付着します。
できれば使い捨てにした方がよいでしょう。
そして、最後には浴室を消毒する必要があります。
浴室の消毒には次亜塩素酸ナトリウムという薬剤を使用します。
ミルトンやキッチンハイターなどを使うとよいでしょう。
濃度は0.02%、つまり5Lの水に5%濃度のハイター約20mlを入れると完成です。
こうして作った次亜塩素酸ナトリウムを浴室にスプレーして10分後に水で流します。
ロタウイルスは一緒に洗濯すると感染する?
・洗濯でロタウイルスは流れ落ちるのか?
ロタウイルスは非常に強いウイルスですので、普通の洗濯洗剤では全く洗浄効果はありません。
アルコール消毒も効きません。
ロタウイルス感染患者の洗濯をするには、少し工夫が必要です。
まず、他の家族の洗濯物とは別に洗う必要があります。
吐物や糞便は乾燥する前に早めに処理する必要があります。
洗濯機に入れる前に、まずは次亜塩素酸ナトリウムで消毒しましょう。
500mlの水にハイター20mlの割合で希釈します。
その割合で作成した次亜塩素酸ナトリウム水にロタウイルス患者の洗濯ものを1時間つけておきましょう。
そのあとに洗濯機で洗濯すればウイルスはいなくなります。
・洗濯時の注意点
ハイターは漂白作用も多少あるため、衣類が色落ちしてしまうこともあります。
多少の色落ちは覚悟しましょう。
また、ご自宅の洗濯機が熱水洗濯できるものであれば、85度以上のお湯で1分以上つけおきすればロタウイルスは消えます。
すすぎは2回するようにしましょう。
・もし普通に洗濯してしまった場合には
消毒をせず、他の洗濯ものと一緒に洗ってしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。
消毒せずに選択してしまうと、洗濯機の中にロタウイルスが移り、洗濯ものを介して他の家族に感染してしまうことがあります。
まずは洗濯ものを全部取り出して、前項でご紹介した次亜塩素酸ナトリウム水に1時間つけましょう。
同じ濃度の次亜塩素酸ナトリウム水を洗濯機に満たし、30分以上つけ置きします。
そのあとにフルで洗濯機を回し、すすぎを2回します。
こうすれば十分に消毒できます。
まとめ
このように、ロタウイルスは感染力が強いため、徹底した消毒が必要になります。
次亜塩素酸ナトリウム水でしっかりと消毒できるので、他の家族に感染が広がらないようにしましょう。