ロタウイルスというウイルスの名前を聞いたことはありますか?
ロタウイルスは5歳になるまでの子供のほぼ100%が1度は感染するウイルスです。
感染すると下痢や嘔吐などの症状を引き起こします。
ロタウイルスには予防接種があります。
今回は予防接種の必要性、対象年齢や予防接種の時期についてご紹介します。
ロタウイルスの予防接種の必要性はある?
・ロタウイルスとは
ロタウイルスとは乳幼児に感染しやすいウイルスです。
ロタウイルスの3大症状は、下痢・嘔吐・発熱です。
楽しそうににこにこしていたのに突然機嫌が悪くなり、泣き出して激しい嘔吐が現れます。
嘔吐は発症初日から2日目くらいに現れることが多く、繰り返すことで水分と電解質が失われていきます。
ロタウイルスの下痢の特徴は白い米のとぎ汁のような下痢便です。
1度に出る量がかなり多く酸っぱい独特のにおいがします。
時にはおむつからあふれるほどの量の下痢が出ることがあります。
下痢は5~6日続くので脱水のリスクはかなり高くなります。
発熱は長続きはせず、下痢・嘔吐発生から1日程度で下がることがほとんどです。
しかし、38度から40度の高熱を出すこともあります。
・ロタウイルスの合併症とは
ロタウイルスで怖いのは、脱水だけではありません。
症状の重症化によって引き起こされる合併症は非常に危険です。
繰り返す下痢の重症化により胃腸炎関連痙攣という痙攣症状が、2~3%に見られます。
1~3分間持続する痙攣で予後は良好とされますが、痙攣発作を起こすと呼吸困難を引き起こします。
脳が酸素不足になることで重篤な痙攣では後遺症が残ってしまうこともあるので注意が必要です。
また、脱水が重症化すると意識障害や脳梗塞が起きる危険性もあります。
・ロタウイルスの予防接種はなぜ必要なのか
ロタウイルスの予防接種は症状の重篤化を90%防いでくれる役割があります。
予防接種をしていてもロタウイルスに感染してしまうことはあります。
しかし、予防接種をしていない場合よりも症状が早く良くなったり、重篤な脱水や痙攣の予防が可能です。
予防接種をしても感染するなら、予防接種はいらないという考えは大きな間違いです。
苦痛をはやく軽減してあげたり、命を守るためには予防接種は必要だと言えます。
ロタウイルスの予防接種の対象年齢は?
・ロタウイルスにかかりやすい年齢は?
ロタウイルスにかかりやすいのは0~5歳の子供と言われています。
ロタウイルスは便や嘔吐物からの感染が中心です。
ショッピングセンターのおむつ交換エリアを使った後など、手を洗わないでいるとウイルスがどんどん繁殖します。
特に小さい子供が集まる場所にはロタウイルスの菌が多く、手洗いがきちんとできていないと感染してしまいます。
感染しやすいのは子供ですが、大人にも感染する場合があります。
さらに、大人は外から菌を運んでしまう可能性も高く、外で菌に触れた手で子供に触れることで子供が感染する場合もあります。
ロタウイルスは非常に強力なウイルスで、少量のウイルスでも感染してしまいます。
免疫の低い子供が感染すると重症化しやすいのでしっかりと重症化予防をしていくことが必要になります。
・予防接種の対象年齢は?
ロタウイルスの予防接種は生後2か月くらいが最適とされており、ワクチンの種類によりますが2~3回の接種が必要です。
ロタウイルスの場合、予防接種が受けられる年齢が生後6か月までと決められています。
これは腸閉塞の一種である腸重積症を過去に引き起こしたり、今後起こす可能性のある子供には摂取できないためです。
生後6か月以内の子供は腸重積を起こしにくいため、この期間にしか接種ができないとされています。
ロタウイルスの予防接種 時期は?
ロタウイルスの予防接種の副反応として、腸重積症があります。
日本の予防接種は検証を重ねて安全性が高いですが、稀にロタウイルスの予防接種後に副反応が出てしまう場合もあります。
腸重積症は腸管の一部が腸の中に潜り込んでしまうという病気で、激しい腹痛とイチゴジャムのような血便が特徴です。
早期発見できれば高圧浣腸で治りますが、発見が遅れると手術が必要になる怖い病気です。
副反応での腸重積症を防ぐために、生後14週6日までに初回接種を終えることが推奨されています。
ロタウイルスワクチンは生ワクチンですので、接種の間隔を4週間以上空けなくてはいけません。
0歳児は他の疾患の予防接種も受けなければいけないので、小児科医と相談しながら予防接種のスケジュール調整をする必要があります。
まとめ
世界保健機構(WHO)はロタウイルスの予防接種は子供が摂取するべき重要なワクチンとして位置付けています。
乳幼児の他に幼稚園や保育園に通う子供がいる場合には、外からウイルスをもらってくる可能性も高くなります。
外からもらったウイルスが乳幼児に感染して発症し、重症化した場合には取り返しのつかないことになってしまうこともあります。
重症化を防ぐために、ぜひ予防接種の検討をしてください。